いにしえのロボットアーム「MOVE MASTER RM101」を動かす(前編)

今回は埃の被った昔のロボットアームを動かしていきます。

進捗具合としては50%程度なので前後の2分割記事となりますのであしからず。

 f:id:ykch0711:20161127014901j:plain

まず、MOVE MASTER RM-101とは何ぞや、というところから説明をしていきましょう。

この「ムーブマスター」は昭和57年(1982年)4月 に、日本初の"教育研究用マイクロロボット"として三菱電機から発売されました。

そもそもムーブマスターという呼称は、ロボットとコントローラーを総称した呼び方であるため、写真に写っているRM-101とは別に、MX-6000というコントローラー(8ビットパソコン『MULTI-8』M-BASICで動作)*1も付属していたようですね。

販売価格はセットで35万円ほどだったようですが明確なソースは見つけられませんでした。

以下、RM-101の特徴を述べた記事からの引用です。

最初に開発されたRM-101はステッピングモータを用いた5軸垂直多関節構造で,セントロニクス準拠のプリンタインタフェースを介して汎用のパーソナルコンピュータ(以下,パソコンと呼ぶ)に接続される。パソコンからコマンドを与えてロボットの動作を思いのままに制御できる同システムは,当時としては極めて斬新な着想であったと言える。

パーソナルマイクロロボット<ムーブマスタ>の開発 | 日本のロボット研究開発の歩み | 日本ロボット学会

いまでは当然のように行われているロボットとパソコンとの接続が"斬新であった"と表現されることに驚きですね。しかしその接続方法がプリンタインタフェース、つまりはパラレルポートであるところに時代の流れを感じます。(イーサネット接続の後継機もあるみたいです)

f:id:ykch0711:20161127013237p:plain

自由度は図に示すとおりで*2アーム部にヨー1軸・ピッチ2軸、ハンド部にピッチ1軸・ロール1軸・開閉1軸の計6軸という構成になっています。アクチュエータにはユニポーラのステッピングモーターが採用されていました。

 

そんなムーブスターが、どういう経緯か部室の片隅で埃を被っていたので、それを不憫に思った私はこの子を元気に動かしてやろうと思い至ったわけです。

長い前書きはこれくらいにして、実際に動かしていきましょう。具体的なアプローチとしては2つ考えられました。

  • プリンタポートのあるPCを用意してBASICを書く
  • モータはそのままに基板を引っぺがして新しく作る

前者についてはPCのアテがまるでないですし、BASICなんて授業でしか触ったことないですし、後者のアプローチを取るのは必然といえましょう。基板を新しく作るといっても、ACDCの部分やドライブ回路は流用できそうですしね。

 

方針が決まれば次はハードの不具合がないのか見ていきます。

f:id:ykch0711:20161127014318j:plain

この手製ステッパドライバー(二層励磁も可)で手動信号による検証をしてみたところ、ギアやチェーン、ワイヤ、そしてモーターに不具合がなさそうであることを確認。よかった。

1A程度の電源に繋いで動作実験だったので不安がないわけではないですが・・・

 

続いて回路を検討します。といっても、特に捻らずモーター1つに対してFET4つを使う簡単なドライブ回路です。

f:id:ykch0711:20161127022522p:plain

こんな感じ。これを1モーターあたり4つ付けて、5モーター分動かすのでx5。ちなみに、流用するACDC回路を測定してみるとDC16Vで駆動していました。何Aで動かすことを想定しているのかは未熟なので読み取れませんでしたが・・・

使用マイコンは部に大量にあるDaVinci32u*3です。こちらはArduino互換のマイコンで、ArduinoIDEが使えます。

デジタルピンは20本程度しかないので5自由度分の制御しかできません。しかし、ハンドは別途作成中であるため、ハンドの開閉以外の制御を取り組んでいくこととします。

 

そしてProcessingでGUIを作って行きます。これは次の記事で。

 

要は、PCとRM-101を繋いで通信するという構成は変わらないですが、パラレルポートからシリアルポートに変えるというわけですね。

 

 

肘アクチュエータ駆動の雑な往復運動(二層励磁)