KRS3402を使ったときの計算とか①

少しネジから逸れるので別記事として設けました。

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サーボモータとサーボホーンとネジ

KRS3402を使ったときの強度とか考える

 


使うサーボモータKRS-3204 ICS(https://kondo-robot.com/product/krs-3204ics
>【7.4V時】
>●最大トルク:9.3kgf・cm
>●最高スピード:0.13s/60°
単位が扱いづらいので変換します。
9.3[kgf・cm] = 9.48[Nmm]

動的荷重考えてないので強度計算においてスピードは無視します。

またこのサーボはセレーションが施されているだけなのでサーボホーンと呼ばれているフランジ形状のものを被せてやります。
KRS3204で推奨されているサーボホーンは「小径ホーンB(PCDφ12-M2-オフセット0)」です。
https://kondo-robot.com/product/02157
https://kondo-robot.com/w/wp-content/uploads/ServoHornProductVer2.pdf
材質はPBT GF30(黒)です。引張強さは132[N/mm2]

同じくホーンで嵌りそうなものとして
「アルミローハイトサーボホーン(ガンメタリック)」
https://kondo-robot.com/product/allowhighthorn
材質はA6061です。引張強さは310[N/mm2]
こちらはKRS3204での使用が推奨されているような文言は記載されていません。
より大きな力のサーボモータに向けて作られているような感じですね。
ですが、推奨されてはいないこのアルミのサーボホーンつかって問題ないのかということが知りたいわけです。
モータ側のトルクはいったん置いといて、先にホーン側の許容トルクを探っていきたい訳です。

まず、既に廃止されていますがおそらくインボリュートセレーション(JIS B 1602)が採用されていると思います。
もしかしたらより簡易な三角セレーションかもしれません。
技術計算製作所:スプライン設計計算 
https://gijyutsu-keisan.com/webapp/mech/calc_invspl/calc.php
技術計算製作所:スプライン設計-
https://gijyutsu-keisan.com/mech/engineer/element/spline/spline_3.php
軸側が23歯、軸と穴のはめあい長さは3.0[mm]でボス側大径φ6[mm]ということがサーボモータとサーボホーン側で公開されている情報で、これを元に類推すると
モジュールは0.25で、この時ピッチ円直径は5.75[mm]、基礎円直径4.066[mm]、軸側大径6.0[mm]小径5.5[mm]、穴側大径6.1[mm]小径5.6[mm]となります。

で、上記計算サイトで許容トルクを検討していきたいのですが、まず加えるトルクありきなんですよね。逆演算がしたいわけです。
利便性や設計サイクル短縮化を図るなら立式するのがベストでしょうが手間なので細かく入力していって確かめます。
あとこれは軸側と穴側どちらの強度なのか記載が無いのですがピッチ円形で見てどちらも同一の素材・強度で同一の力が加わるという考えみたいですね。
式を見てると軸ねじり応力には歯底円直径くらいしか関与してないみたいです。
また、注意する事として効率2種の数値によって軸ねじり応力を上回ることがある点です。
歯面接触率は0.75とするのが一般的なようです。根拠ってなんだろう
https://m-sudo.blogspot.com/2017/11/iso.html
歯数接触率については接触してる・してないの二項分布の正規近似で何とかできそうな気配を感じます。よく分からんので0.75としておきます。

ということで軸ねじり応力が引張強さに達するときのトルクを見ていけばよいでしょう。
PBT GF30 引張強さ 132[N/mm2](=[Mpa]) ⇒ 2.261[Nm]=2261[Nmm]
A6061 引張強さ 310[N/mm2]  ⇒  5.311[Nm]=5311[Nmm]

約2.35倍の差がありますね。
この数値はKRS3204のサーボトルク(9.48[Nmm])からしたらかなり高く見えますが
外力が加わることとか動的荷重とかを考えるとなかなか余裕はありません。

で、これが加わったときボス側のセレーション、つまりサーボモータのファイナルギアは
2261[Nmm]加わっても壊れない保証はなされていますが
5311[Nmm]加わったときどうなるかは保証されてないということになりそうです。

ここから先は雑な仮定になりますが、ファイナルギアもA6061と考えます。
つまりは、推奨されてはいないこのアルミのサーボホーンつかって問題ないのかということが知りたいわけでここまで計算進めたんですが
つかっても問題ないだろうという仮定を立てたわけですね。なんだこれ。
ファイナルギアの材質が分かればもう少し何とかなりそうですが。


外力としてサーボホーンの上に更にリンクを取り付けることを考えて見ます。
ウデ長さ100[mm]の先に29.43[N](3.0[kg])が加わったとすると
セレーション中心にかかるトルクは2943[Nmm]となり樹脂製だとアウトです。静荷重でも無理そうです。
金属製だと安全率1.8確保されていますがアンウィンの安全率では静荷重でも5は欲しいとされているので、厳しいところですね。
では逆に、アンウィンの安全率(衝撃荷重)15を確保した上で、9.81[N](1.0[kg])の外力にも耐えられるウデ長さはどうなるかというと
樹脂ホーンだと15.4[mm]
アルミホーンだと36.1[mm]
となります。

この数字を元にこのサーボを使ってロボットの脚を造っていこうと考えます。
仮にロボットの質量を1.0[kg]としても、あるサーボのセレーション部分のみに力が加わるシチュエーションはめったに起こりえないと思いますが
ワーストケースの底値を想定してから積み重ねていく考え方もありかと思います。

次は5節リンクな足のロボット考えていきます