ネジとかタップとかに関する諸々

規格化のありがたみと、ネジにかかる力についての備忘録みたいなもの。

思ったよりも長くなったのでとりあえず。

 

設計しているときに感じたモヤモヤとか、一旦決着のついた部品の設計躓き箇所とかを、人に説明するまで体裁を整えると自分が納得できるのでブログ更新です。
前の記事のロボットアームのことは忘れよう。

 

 

・規格化の何がありがたいのか

冗長性のありまくる仕様のなかのパラメータを絞れる点です。
こういう力・剛性・強度・時間でこういう動きをする、というアナログ的で無段階的な仕様を達成するにはそれこそ無数にアプローチがあるわけですけども
細部を詰めていくときに、サイズでいうとM2,M3,M4…(強度区分でいうと3.6,4.6…)と、規格というある程度荒い分解能のフィルターで現実世界に落とし込むことができるんですよね。
机上論やPC上のシミュレータではないので当然最適値ではない(軸が最適径でないなど)弊害もありえますけども、
そのズレは安全率を大きく取れる方向に積み上げていって心労を減らせることに繋がるので大切です。
ただここは少し自分でも納得しきってないところでモヤっとしています。自分の介入できない要素で安全率が変わってしまうところ嫌ですよね。

次に得られる規格化の恩恵は、入手が容易で安価ということ。すごく大事。
規格化されたねじが手に入りやすいということは、破断時の置き換えコストが小さいということですし、
構造プレートやアクチュエータではなくネジが壊れるようにしようということになります。

そんなネジは締結したり、軸として使えたり、使い勝手がよく汎用性が高いために、まずロボットに使うでしょう。
つまりはネジの知見を深めれば設計を進める歩幅も大きくなるだろうということです。

話の出だしと締めの言葉が噛み合ってない気がする。

 

・ネジにかかる力


「もの作りのための機械設計工学」
https://www.nmri.go.jp/oldpages/eng/khirata/design/ch04/ch04_03.html
「技術計算製作所:機械設計に必要な情報とWebアプリ、ソフトウエアを公開しています-/mech/engineer/element/thread-」
https://gijyutsu-keisan.com/mech/engineer/element/thread/thread_2_7.php

上記サイト見ればここから先読まなくて大丈夫です。


大雑把に分けると、ネジにかかる力は①軸方向②せん断方向③曲げ方向④ねじれ方向の4種類。
6DOFの空間で考えれば掛かる力はこの4つの力になると思います。
ですが選定には①と②だけを見ればいいでしょう。

①軸方向の力は、ネジ山に加わるせん断方向の力と捉える事で計算できるみたいです。
フランジにネジを使う場合とかで考慮しないといけなさそうですね。

②せん断方向の力は、回転軸として使い際には特に重要になります。
回転体の回転軸と並行にネジを配置するときとか。
完全に締結されたときはせん断力は0になるという考え方もできると思います。

③曲げ方向は、①と②の方向が合わさったような力となるのですが①の最大値と②の最大値をクリアしてしまえばはその間に収まるので
特に考慮しなくていいだろうとして飛ばします。

④ねじれ方向は基本的に考慮しないです。締結が完了している上で更にネジの頭に回転が加わるような例って何があるんでしょうね。

こういう経緯で①と②だけ見ます。
というか軸なんだから三次元的でなく二次元的に考えればよいので当然な帰結な気もする。直交2方向の力の大きささえ分かればいいわけだし…なんもわからん…

また①について(②~④にも僅かに掛かる)補足ですが、過剰なトルクで締め付けをしてしまうとネジ山が死んでしまいます。
しかし一方で、ネジの軸方向過重が大きいほど緩まない方向に作用するので、なるべく大きく設定したいところです。
なぜ軸力を大きくすると緩まないのかについては、雄ネジをバネのようなものと捉えるといいと思います。
ネジ締結トルクが弾性エネルギーとして雄ネジに蓄えられ、時間経過で締結力が減少していき、振動で変位が生じ緩むという流れと思います。
ネジは力学的なエネルギー貯蔵手段だったんですねぇ。
あと、ダブルナットや緩み止めナット、ネジロック材などネジ以外の要素を付け加えることで緩まないようにするアプローチはあります。